TPPが語られている。経済のことを考えてみる。

日本は貿易黒字が慢性的である。
つまり、それだけ紙切れが増え実質の財が流出していることに他ならない。紙切れとは米国債やドル紙幣のことだ。
さて、黒字が続くと言うことはどういう事なのだろう。ようするに輸入量が少ないと言うことだ。輸出によって交換した紙切れを使い切れていないことが貿易黒字という結果なのである。バンバン海外の財を買わないと紙切れだけが増えるのだ。紙切れはインフレしたら価値が下がる。普通の家族の家計ではお金が余ると貯金する。貯金につく利息とインフレによる物価上昇を相殺するためだ。貿易黒字も同じことで余った紙切れを金利がつくところで運用する。

輸出企業は原材料を輸入して、付加価値をつけて輸出している。付加価値とは労働のことだ。日本国内で発生した労働に輸入で使った原材料費足して輸出しているわけだから、企業の収支が黒字の時は労働という財を少なく見積もっていたことになる。労働を適正に評価することで貿易黒字の分は家計に回ることになる。家計に回った日銀の紙切れが輸入された財の消費に使われると貿易収支は均衡化される事になる。

しかし、日本人は以外と輸入品を嫌う。食品にしても衣料品にしても家電や車にしても国産の製品に人気が集まるのだ。そもそも人口が減少してきて市場自体が縮小していく。しかも、日本人は老後のことを考えてせっせと貯金するから余った紙切れをつかうまでにタイムラグが生じてしまうのだ。
だから政府は日本人がせっせと貯めた紙切れを日本国債に刷り直して変わりに消費することでバランスをとっている。

労働が財なのである。労働の原点は食料を得ることである。食べ物を得ることに価値を置けない集団はない。有意義に働いてうまいものを食いたいのだ。
貿易を否定しているわけではない。日本列島で得られない物は外から持ってくるしかないのだ。そのためにここで作ったものと交換するのも有意義だ。

日本列島は非常に豊かな場所である。自然の恵みによって食料を作るのには大変優れた場所である。それを近視眼的な価値観で見過ごしていないだろうか。世界の人口は今世紀中に30億人は増えるだろう。深刻な食糧不足が心配される。食料の価値は今後上がる可能性が高い。そうなったとき高品質な日本の食品を維持することも難しくなるかも知れない。既に6割は輸入しているのだ。
食料生産のために培ってきた技術を衰退させない事が大事なのである。

自由貿易でもいいだろう。しかし、目先の利益に振り回されないでその地域の人達が有意義に働ける産業をしっかり保ち作ることをおろそかにしてはいけない。民間企業はどうしても短期的な利益のために仕事をしないとならないが、国は長期的なビジョンで仕事をするべきだ。
市場経済は目先の利益に振り回される。それは欠陥なのだ。
そのことを認識して公共の仕事にたずさわる者たちはそのことを十分認識して判断して欲しい。