隣人の政治

 多くの有権者は選挙を主体的に捉えていない。テレビのニュースショーなどで「争点なし」「盛り上がらない」「与党大勝」というコメントを何度も聞いて、そんなものかと選挙に興味を失う。
 そもそも、普段から政治に関心がない。歴史や社会学は自分に無関係だと思っている。気になるのは、景気や賃金。日々の売り上げや受注量は身近な問題だ。アベノミクスが何なのかわからなくとも、良さそうな雰囲気だからと肯定する。
  勝手に流れてくるテレビとは違い、ネットは自分からキーを押さないと拡がっていかない。SNSのニュースランキングは国政選挙の翌日でも芸能ネタや悲惨な社会事件。スキャンダルやゴシップが大好きなのだ。
 まだまだこの社会は余裕があるのだろう。危機的状況を実感する人の数が少ないのだ。混乱がひどくなる前にみんな気付いてくれればいいが、三年前の震災も原発事故でもまだ足りないようだ。
 結果をみれば自民党を支持する人が殊更増えたわけじゃない。政治に興味を持つ人が増えない状況が明らかになっているだけである。