政府が調べた原発に対する国民の意識
昨日(8月22日)エネルギー政策世論調査の分析報告が出された。参加者や回答者は原発問題に対する意識が高い人たちである。中でも再稼働に反対する人たちが積極的に参加したと考えられる。特にパブコメの8割即時ゼロは反原発デモ参加者数からみると納得がいく。パブコメ即時ゼロが7万人とすると、官邸前デモの参加経験者(10万人程度)と見合う数字である。
データを眺めてバイアスを差し引いてみると、市民の4割が原発依存をなるべく早急にゼロにしたいと考えているように思う。対して原発を容認する人は3割程度であり、残り3割が関心がないあるいは判断できない人たちである。
職場や隣人などの様子をみていてもこれに近い印象を受けていた。
規制委員会の人事が決まり、規制庁が動き出せばいずれ原発の再稼働が順次行われるだろう。大きなトラブルがなく時間が経過していけば、市民の意識も薄れ現状維持に傾くことになる。新しく建設することは難しいかもしれないが、50基近い原発がまだまだ稼働していくだろう。
法律として期限をきった原発依存ゼロを決めない限り、今のほぼ半数の市民の希望は達成されないことになる。
「脱原発基本法」を出すチャンスは解散総選挙の前しかない。低支持率で追い込まれた民主党が起死回生のためにこれを打ち出すことだ。選挙で原発問題を争点にしたくなければ奇跡的に通ってしまう可能性もある?
選挙前にこれが出ないと、曖昧な脱原発公約がどの政党からも垂れ流されるだけになってしまう。公約は守られないことになっているから原発問題は雲散霧消して、政府や電力会社のシナリオに沿った結果になるだろう。
「討論型世論調査(DP)」
(政府が示した2030年時点の原子力発電依存度、無作為電話調査6,800人、討論参加285人)
依存度 事前電話調査 討論前調査 討論後調査
0 % 32.6% → 41.1% → 46.7%
15% 16.8% → 18.2% → 15.4%
20〜25% 13.0% → 13.3% → 13.0%
「パブリックコメント」
(89,124件の意見のうち約7,000件の集計)
依存度
即時 0% 81.0%
段階的0% 8.6%
20%以上 3.1%
「意見聴取会」
(意見を表明希望者1,542人)
依存度
0% 68%
15% 11%
20~25% 16%
(会場アンケート1,276件)
依存度
即時 0% 22%
段階的0% 13%
15% 2%
20%~25% 6%
その他 57%
*依存度:総発電量に占める原子力発電量の比率
討論型世論調査の曽根泰教実行委員長(慶応大学大学院教授)の会見から
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00230056.html
(今回の調査では、0%を支持する割合が電話調査の段階では32.6%だったのが、資料に目を通した討論前だと41.1%。さらに討論後には、46.7%と伸びているが?)
ゼロというのは、印象的にはあり得るんだけれども、現実を考えると、再生可能エネルギーを相当増やすとか、あるいは化石燃料を買うためのコストを負担しなきゃいけないとか、大変な選択なんですね。
ですから、その大変さがわかって、少し減るのではないかなっていうのは予測があったんですが、実はそれは可能だという判断を多分参加者はしたんだと思うんですね。
もう1つ、大きなところが、安全、つまりわれわれ判断基準として、安全の確保、安定供給、地球温暖化防止、コストの4つがあるわけです。
エネルギーを考えるときには、この4つの基準を通常、考えるわけですね。
この中で、安全の確保というのが圧倒的な関心で、懸念が一番示されたと。
つまりほか3つと同等ではなくて、もう安全が特に判断があったというふうに考えています。
そこで安全を完全に乗り切ることができなかったために、ゼロに落ち着いたというふうに考えていいんじゃないでしょうか。