演出された構図

「湯浅 誠」というカリスマが出てきた。共産党や左翼とは別のところから新自由主義的経済政策に対抗する活動家である。
論客ではなく活動家であるところが良い。

昨年末に襲来した経済的ダメージに経済界や政治家が右往左往し、マスコミはネタ探しだ。タイムリーなことに「派遣村」は注目に値するネタであった。政府が撃つ経済政策のカウンターパートとして注目を浴びたのである。
痩せて長身少し神経質そうな青年、どこでも薄汚れたセーターで登場し、静かな口調で語る。アジテーターとしての迫力はないが、ギラギラと声がデカいコメンテーターが目立つ中で新鮮な印象が光る。

テレビの討論番組は彼を好んで起用した。そこに新自由主義の論客を大量にぶつけて行く。あくまでマイノリティの代表に見せる演出である。隣に座らせた「雨宮処凛」はさらにそれを際だたせる絶好のキャラである。
彼はいつまでたっても貧困者の代表であり国民の代表にはならないよう仕組んでいるのだ。


国民の大半はまだ豊かな日本経済の恩恵を受けている。彼らは「保守」として今の生活を守ることに熱心なのだ。経済界はその心理につけ込んでいく。
ゆっくりじわじわと落とされていることに気付いたときはもう遅い。