否認事件を実名報道するメディア

強制わいせつ容疑で医師逮捕=検査で女性患者に−「故意でない」と否認
 女性患者にわいせつな行為をしたとして、警視庁捜査一課と目白署は7日までに、強制わいせつの疑いで、東京都板橋区小豆沢、外科医師堀江良彰容疑者(53)を逮捕した。同課によると、堀江容疑者は行為を認めたが、「故意ではなく、手元が狂った」として否認している。
 逮捕容疑は2004年5月28日午後、勤務していた豊島区内の病院で、大腸の内視鏡検査を受けに来た都内在住の30代女性に対し、内視鏡を使い、わいせつな行為をした疑い。
 同課によると、女性が行為に気付き、同容疑者に指摘したところ、故意を否定したという。(2009/05/07-13:02)

時事通信社
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200905/2009050700341

このニュースを読んだとき、報道姿勢に疑問を感じていた。医療行為とわいせつの境界を判断することが難しい件だと思ったからだ。是非医療の専門家に話を聞きたいと思っていたら以下のような記事を見つけた。

手が滑ったのか、わいせつか-行き過ぎた医療訴訟が現場を疲弊させる
2009年05月26日 多田 智裕(ただともひろ胃腸肛門科院)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1086

5月7日、53歳の外科医が逮捕されたというニュースが各局のテレビで流れました。某局では実名と顔写真のみならず自宅まで映し出していました。
 大腸内視鏡検査を受けた20代の女性の陰部に、内視鏡を入れるなどのわいせつな行為をしたという容疑での逮捕でした。
 「本人は、手が滑っただけで故意ではない、と否定しています」とキャスターが原稿を読み上げています。ニュースだけを聞くと、ほとんどの人が「とんでもないわいせつ医師がいたものだ」と思うことでしょう。実際に番組のコメンテーターやゲストも、そのような趣旨の発言や表情をしていました。
 しかし、本当にわいせつな行為だったのでしょうか。


多田医師は大腸内視鏡検査を何度も行っているベテラン医師のようである。その彼がオレと同様の疑問を持っているのだ。

 大腸内視鏡検査の際にカメラを挿入する肛門と陰部は数センチしか離れていません。そして、人の体は千差万別で、毛深い人もいれば、脂肪の多い人もいます。検査前の緊張で肛門が固くしまっていた場合には、痛み止めのゼリーを塗ります。そのゼリーのせいで周辺が滑りやすくなっていて、故意ではなくても陰部に内視鏡が入ってしまうことはあり得るのです。(中略)
 年間1000件行なう医師であれば、1年間で1〜2件の割合で起こし得る不可避な偶発症です。


下半身を撮影したとして逮捕起訴された産婦人科医に関する報道の時も、破廉恥な行為をした医師という扱いで一方的に名誉を毀損していた。この事件は昨日高裁で無罪になっている。



西松ー小沢事件でも検察のやり方が問題視されている。これまで明らかになった冤罪事件を見ても警察や検察が全面的に信用できる組織とは言い難い。もっと突っ込むと裁判官の判断も上級審に行くほど検察よりになると穿ってみることができる。

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