ローアングラーとパフォーマーを批判するマスメディア

「アキバホコ天」東京の電気街で有名な秋葉原歩行者天国で行われている路上パフォーマーやコスプレをしたチラシ配り、それとそれを撮影する「ローアングラー」が最近話題に上がる。
今朝もテレビ朝日スーパーモーニング(1)で取り上げられていた。

歩行者天国は広場ではなく道路である(2)とされ、その占有には使用許可(3)が必要だ。
路上パフォーマンスやチラシ配りなどの宣伝行為、撮影、時には立ち話もすらも道路の占有と解釈され警察は法を執行する事がある。これに抵抗すると公務執行妨害とされることもある。
これは歩行者天国だけではなく、新宿西口通路などの歩行者専用通路や広場公園とされるところでも適用される。
ストライキで歩道に座り込んだり、ロックアウトされた労働者がその前で大勢たむろしていることは違法とされる。だから無許可のデモ行進や公共の場での集会はすぐに解散を命じられ従わないと逮捕される。

現在、路上パフォーマンスの代表はストリートミュージシャンである。流行りのゆずやコブクロなど多くのミュージシャンが路上パフォーマンスしていた。
過去に大がかりなパフォーマンスとして原宿ホコ天竹の子族、フィフティーズ族などの集団ダンス、渋谷公園通りの一世風靡などが有名だ。
オレぐらいの世代になると、新宿西口広場(現在は西口地下通路)のフォークゲリラ(4)が思い出される。
1969年、70年安保闘争まっただ中の事件で反戦や反体制思想を織り込んだフォークソングを大勢で歌うという人たちを警察が強制排除した。それは、マスメディアにも大々的に取り上げられ、子供心に国家権力の横暴さを刻みつける印象的な事件だった。

あの当時のマスメディアはフォークゲリラシンパシーであったような記憶がある。参加者の多くは組織されてはいない一般の会社員や学生だったし、暴力的な集会でもなかった。交通の邪魔になる、公序良俗に反するなどという批判はそれほどなかったと思う。警察はそれに対し、催涙弾ジュラルミンの楯、警棒で武装した機動隊をつかって実力行使したのだった。

あれから40年近くになる。
路上パフォーマンスも様変わりした。
マスメディアの対応も同様。
露骨に偽善的であり、憲法21条が報道機関のためだけではなく国民の権利であることを忘れているようだ。
公共性の高いテレビ番組などは、一般国民の行為に露悪的、猥褻な表現と感じたとしてもその批評は慎重に行うべきだろう。ヒステリックな女性レポーターが行為を戒め、ひどい悪行と決めつけて批判を繰り返す。
性的な表現は囲い込まなければならないとする一方的な道徳観を押しつけ、自分らに都合の良い基準を設けて利用するこうしたマスメディアのやり方を許したくはない。

戦後60年を超え、この時期日本人は歴史上大いに自由な環境にいたような気がしている。しかし、実際はどうなのだろうか。国家による検閲は影を潜めているように見えるが、それは、自主規制機関の活動や自己検閲が為されるからだ。表現の自由は様々な形で圧力を受けているのである。
さらに愚かな国民は自主規制ではもの足りず、さらに法律で規制をかけようと動いている。せっかく得た自由を放り出そうというのである。

秋葉原歩行者天国 http://www.akibaos.com/?p=3255
         http://www.akibaos.com/?p=3330
         http://jabro.jp/Entry/307/

1) この番組は情報娯楽ワイドショーだが、シリアスなニュースやジャーナリスティックなドキュメンタリーも含んでいて、コメンテーターも社会派ジャーナリストをメインに据えたそれなりのメンツである。一見すると報道番組の体裁だ。テレ朝自身も報道番組に分類している。

2) 警察は、住宅街の私道、山村部の農道、広場、公園、河川敷など現実に不特定の人や車の自由な交通の場に使用されて場所は「道路交通法」による「一般交通の用に供するその他の場所」であると解釈し「道路」としている。

3) 道路交通法第5章参照 http://www.houko.com/00/01/S35/105.HTM#s5

4) フォークゲリラを知ってるかい? http://ameblo.jp/nyarome007/entry-10064164134.html
                                   
                  http://ameblo.jp/nyarome007/entry-10064164134.html