ハイパー独裁制

ハイパー独裁制とは田中宇が自分のサイトで使った言葉である。
民主主義国家を標榜する先進国国家が、手続きやマスメディアをつかって巧妙に民主主義的なアリバイを偽装し、国民の主権を奪う制度のことをいうようだ。
田中は欧米人や日本人の多くが、自国のマスコミが真実を報じていると勘違いしていると指摘している。
私もこの意見にはほぼ同意できる。それだけではなく民主主義的手続きと考えられている法律の多くがハイパー独裁制を助けているといっても過言ではないだろう。

国民は国政選挙や地方選挙によって政治に参加している。そこで選ぶのは議員であるが、選挙の際の候補者の公約や流行りのマニフェストははなはだ曖昧なものが多く、実際に議会に諮られるものとの違いは大きい。重要な法案に関して全く触れられていないことも多く、選んでしまったら最後、後は自分たちの都合の良いように勝手に決めている。
巧みなプロパガンダに乗せられて与党自民党を大勝させた前回の衆院選は記憶に新しい。
その後、衆院選は行われず首相は2度かわり、教育基本法日本国憲法の改正手続に関する法律、障害者自立支援法日本年金機構法、防衛庁防衛省に昇格させる法律など郵政選挙当時ほとんど取り上げられなかった法案が成立している。

マスメディアは二人三脚でアリバイ作りを手伝う。政府や与党を批判し、いかにも国民の声を代弁しているかのように振る舞うのだ。
しかし、そういう番組で何を言っても法案の内容に影響はない。影響を与えるのは世論調査ぐらいなものだが、次の選挙に影響を与える程度の参考にされているだけだろう。露骨にやって反発が余り激しい場合はやり過ごし、国民の熱が下がった頃合いを見計らう。

政治の色合いが変わるのは民主主義が反映しているからではないね。
利権争いが政治の色合いを変えているだけだ。


(田中 宇 2008年4月17日)
国民にうまいことプロパガンダを信じさせた上で行われている民主主義体制は、独裁体制より効率の良い「ハイパー独裁体制」(ハイパーは「高次元」の意)である。独裁国の国民は、いやいやながら政府に従っているが、ハイパー独裁国の国民は、自発的に政府に協力する。その結果「世界民主化」の結果であるアメリカのイラク占領に象徴されるように、独裁より悪い結果を生む。
http://tanakanews.com/080417tibet.htm